2020/04/02
花筏

古来から日本人の桜に対する思いは、咲き始めから散りゆくまで愛されていたことが、歴史的な文書等に残されていますね。特に、桜の散り際の潔しさは、武士の心になぞられて多くの歌が残されています。
例えば、良寛さんの歌に
散る桜 残る桜も 散る桜
というのがあります。今どんなに美しく咲いている桜でもいつかは必ず散ってしまう。そのことを心得ておくようにということのようです。
また、柿本人麻呂は
桜花 咲かも散ると 見るまでに 誰かもここに 見えて散り行く
と歌っています。桜の花が咲いて、すぐに散ってしまうように、誰なのだろう、ここに集い、そして散り行く人々はということですが、桜の花が散っていく様子と、花を求めて集まった人々が、間も無く散り散りになっていなくなってゆく様子を重ねているようです。『もののあわれ』という平安時代から培わされてきた、日本人独特の心のありようを表現した素晴らしさ作品であると思います。
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